20160910

■ ベアルート ■

ベアルート」とは、用土から引っこ抜き、根に付着した土をきれいに洗い流して根がむき出しの状態を指します。人間でいうなら一糸まとわぬ「すっぽんぽん」状態です。国を跨いで植物を送る際にはそのような状態での輸入出が規定されているため、どんな植物でも必ずそれを守らなければ輸入できません。根がむき出しの状態....それすなわち内部充電で生き長らえている状態になります。一度乾燥して干からびた根は絶対に復活はしませんので、新しい根が出て水を吸い上げるまでは枯死へのカウントダウンに突入しているということです(少し大袈裟ですが)。

先日今年最後の(多分)輸入苗が届きましたので、自分流の植え付けまでの流れをご紹介させて頂きます。発根管理の方法は人によって千差万別です。好きな者同士集まり、自分はこうしてるとか持論を語ったり、えー!?そんな方法なのー?など話すのはとても楽しい時間ですね。先日も福岡のブロメリア兄貴と飲みながら、ディッキアの発根方法について話していて、自分の方法とまるで違っていてとても興味深かったです。ですので「これが100%正しい」ということではないのであくまで参考として読んで下さいね。


届いたのはこちら。D. 'Rolling Stone'  
ずっとゴエゴエ言ってましたが、最近はBrittle Star系の交配種に夢中です。

ディッキアの発根から活着まで様々な方法を試してみましたが、とにかく発根〜活着に重要な事はただ一つ!安定した温度です。25度以上あると発根も早く、15℃を切ると絶望的に遅いです。去年の10月に輸入して今年の4月にようやく発根した株もいるくらいです。ですので、ベアルート株は温かいうちに、根が出るまでの期間(1〜2ヶ月)余裕をもって購入するのが無難です。

ベアルートで立派な株を手に入れた時ほど植え方に悩むことが多々あります。
せっかくの立派な株、そのままの姿を維持したい気持ちは分かりますが、発根するまでに下葉は数枚枯れますし形の維持を気にして、いちいちグラグラするような植え方をした株はやはり発根が遅れますので、最初から植え付けに邪魔な葉は付け根で切ってしまった方が良いという考えに至りました。葉が下に巻いていて植えづらい株も同様です。葉を切る際にはハサミをライターで炙るなどして殺菌することを忘れずに。切り落とした際には傷口に綿棒で軽くダコニールなどの殺菌剤を塗って乾燥させておくとモアベターですが、暑い時期は切断面も直ぐ乾燥するのでそこは省略。下葉を切らず、そのまま下葉ごと用土に埋めてしまう方法もあります。そうするとグラつきはなくなりますが、土に刺さった下葉が用土の水分を吸い、カビだらけになる事があるので注意が必要です。
一度完全に乾燥しきった根はその機能を取り戻すことはありませんのでこれもカット。近場から輸入した鉢から抜いて間もない場合は根が生きている事もあるのでそのまま植えた方が良いです
指の上にビラビラ残っている乾燥した古い下葉の葉元(これもハカマっていうのか?)。これを毟り取る人とそのまま残しとく人で分かれますね。自分は、発根までに株元(上の写真の部分)をなるべく傷つけないことが重要だと思っていますので断固毟らない派です。大体の場合、 失敗=中心が腐って成長点からズッポリ抜ける という結果ですので、腐らなければなんとかなると思っています。半年根が出ずフリーズしていても、暖かくなって発根すると突然成長を始める株もいます。なので自分は、ベアルートで弱っている株の地中に埋まる部分はなるべく傷つけないようにしています。ということは、特別やることはほとんどありません。「グラグラしないように植える!」以上です。一つコツがあるとしたら、上の写真お尻部分に薄く水苔を巻いて湿度を上げて水を感じさせることでしょうか。以前に水苔巻きアリ・ナシでためしたところ水苔を巻いた個体のほうが発根が早かったので効果が見込めます。

さて、植え付け完了したら、待つのみですが、いくつか注意点があります。重要事項は、「直射日光に当てない」ということ。根がないのに葉に光を当てても光合成に必要な水や養分を根から吸収できないので全く意味がありません。内部で蓄えている水分・エネルギーの大幅な無駄遣いになるだけです。とにかく根がないうちは直射日光の当たらない明るい室内(もしくは50%くらい遮光した場所)に置いておくのが得策です。風通しが良ければ文句なしです。発根するまで葉はゆっくりと痩せて閉じてきますが、根が出て水を吸い上げ始めれば徐々に回復しますので、焦らず待ちましょう。根が出ているか頻繁に抜いて確認する方もいますが、これもまた発根を遅れさす要因なのでは?と自分は思っています。また、引っこ抜いて発根を確認できても再度植える際にせっかく生えてきてくれた根を痛めるリスクもありますので、お勧めはしません。明らかに様子がおかしい時は抜いて確認しても良いと思いますが、ではそのタイミングは何時か?と聞かれると、勘としか言えません。ディッキアの声に耳を傾けてください(笑)もうひとつ重要なことは、カピカピの乾いた用土に植えておいても根は出ませんので、用土を湿らせておく事が重要です。しかし有機物が多く高温多湿な環境は微生物にも優しい環境ですので、傷ついた株には危険地帯となることが容易に想像できます。ですので、自分は発根までは有機質(腐葉土など)はあまり使わず、加熱殺菌されている用土で管理しています。腐葉土などの有機質は活着後安定してからの植え替え時に足しても遅くはないと思っています。また、粒の大きいゴロゴロした用土で鉢内に隙間が多いより細かい用土の方が好ましいです。発根してからは有機質が入っている用土の方が根の成育は圧倒的に良いです。
成長点の葉が動き出したら活着の合図ですが、その他にも葉の弾力(ピンとして少し上を向いてくる)が変わってきたり、痩せていた葉がふっくらしてきて葉に寄っていたシワがなくなってくるので、日々よく観察していれば発根して水を吸い上げ始めたかはなんとなく分かると思います。活着したら春と同じようにいきなり直射にあてずゆっくり光に慣らしていきましょう。

もうひとつの発根方法として水挿し(水耕)があります。
その名の通り、株のおしり部分を水に浸して強制的に株に「水」を感じさせて発根を促す方法です。
この方法はうまくいけば最速(4〜5日)で発根させる事も可能ですが、すぐ発根するのは抜いてから余り時間の経っていない株と、若い株、親から外したばかりの子株だけな気がします。自分が試した結果ですが、大株・古株にはあまり有効ではなかったように感じます(大株は過去10株くらいを2〜4週間試した結果なので圧倒的にデータ不足ではありますが)。あと、水中で伸びた根は色、根の太さ・柔らかさが土中で伸びたものと全く異なります。おそらく根としての機能も水中という環境で発達したものになるからでしょう。ですので、水中で伸びまくった根を土の中に埋めても、土中ですぐに水を吸い上げる機能はないと思われます。あと、土の中だと根の先がどんどん分岐していきますが、水中の根はおしりから生えてきた一本が長く伸びていく傾向にありました。(見た目でダメそうな感じがしましたので長くは実験していません)

左)土中で生えた根 ピンとしてます。根本にちょうどな感じで水苔が残っていて.....なんかもう、あれのそれにしか見えませんね....
右)水挿しで生えた根は芯が細く白くて柔らかいです。この根は水に完全に浸かっていない場所から出てきているので、根毛がフサフサで100%水中で生えたものとまたちょっと違う感じなのですが...写真がこれしかなくて...すいません。。参考までに載せときました

自分の考えでは、水挿しは株に「発根するぞ」というヤル気を起こさせる起爆剤=半強制的な方法だと思います。ですので、下の写真のように根の頭が見えたら即水苔で優しく巻いて(根が長い場合は水苔を巻く際に根を折る恐れがあるので巻かない方がよい)植えちゃいましょう。植えてからしばらくして伸びてくる根は徐々に土中に順応すると思われます。 
また、一度根を出せば株自体は発根モードなので、新たに別の場所から新しい根が続いて出てくる日も近いと思います。

水耕でも通常の用土への植え付けでも、とにかく根が出たばかりの状態はまだまだ株本体はお疲れです。焦らずゆっくり日光に慣らしていき、まずは根の量を増やしていく事が大事です。気温が高い時期は腰水にするのも発根したてのディッキアには有効です。ディッキアは根がある程度張ってしまえば、後は本当に手のかからない、逆に言えば枯らすのが難しいと言っても過言ではないくらい強い植物ですのですが、最初だけは優しく気長に見守ってあげましょう。

かなり端折ったつもりでしたが、、気付けば長文。。
最後まで読んで頂いた方、ありがとうございます。