20190227

交配_2019_1





現在2月下旬。我が家のハウスは冬季の最低気温8度設定、日中晴れれば最高気温は30度くらいまで上がるのでディッキア達は11月〜4月までいずれかの株が開花している状況となります。おそらくディッキアはこの寒暖差で春を感じているのでしょう。逆に我が家の環境では夏に開花する個体は少ないです。もし開花しても夏は蟻がディッキアの蜜に誘われ、鉢をよじ登り花目指して大行進し始めるので、正確な交配ができません。なので虫のいない時期に咲いてくれるのは非常に有難いことなのです


ディッキアは同じ栽培環境下だと、種(品種)ごとにだいたい同時期に開花する傾向にあります。興味深いことに、分頭した株を割って分けた同じDNAを持つ株は同時期に開花することが多いです。下の写真は去年分頭株を3つに分けたDyckia 'Dancing Bear'。全く同じタイミングに花芽を伸ばしています。この様子を見ているとDNAに刻まれた開花の条件が狂いなく働いているように感じます。









D.marnier-lapostolei(以下 m-l)の多くは、多種より開花時期が早く、昨年11月から一斉に開花し始め年内には一通り交配を終え、現在ぷっくりと結実しています。今回m-l 系は全てシブリングクロス・自家受粉、またはm-l 選抜品種同士のみを交配しました。 m−l は原種ですが、既に完成された美しさがあると自分は思うので、下手に他種や交配種の血を入れるより、基本フォルムのまま鋸歯の形状や色に特徴が出たほうが魅力的かな?という考えです。理想は極太、地色は赤みが強く、濃密真っ白トリコームの乗ったの葉に細かくびっしり並んだピンクの鋸歯。欲を言えばコンパクトで、鋸歯にイレギュラーな動きのあるものができたらいいなぁ〜と希望を抱き「太くな〜れ、白くな〜れ、鋸歯鋸歯キュン」と、アキバのメイド嬢のようにオマジナイをかけながら(心の中で)受粉作業をしました。今回交配に使った一部の株をご紹介。



D.marnier-lapostolei



こちらはTOTOGELyoさんから戴いた株。彼が初めて買ったディッキアからの子株だそうです。メモリアルディッキア。なんか嬉しい。子株を戴いてから2年半で直径20cm。この個体は初の開花です。幅広なプリっとした葉で、これぞラポスといった草姿。自分的にはフォルムは畝らないこの潰れた感じが好きです。 





D.marnier-lapostolei var.estevesii

var.estevesiiは連続した変異があり(基本とされるものとvar.estevesiiと同定された個体の他にもその中間くらいの個体も自生していたり)、個体差の範疇という事になったようです。現在では基本種に統合されたようですが、園芸的にこの名称で定着しているので便宜上var. estevesiiと呼ばれ続けていくとは思います。HU-5と呼ばれる個体のように鋸歯が大きいタイプや、この写真のように鋸歯が細長く、トリコームが荒めのタイプ(var. estevesii Bill Baker Cloneなど)どちらもvar.estevesiiと呼ばれています。自分はこちらのタイプが好みです。写真は冬の日照不足で色がいまいちですが、この個体は本来 葉の赤が強いので、その赤みと粉っぽくて厚いトリコームに期待。


D.marnier-lapostolei (Red Spine)



同じものが「Pink Spine」とも呼ばれていますが、自分の所有株はタイのQ氏から譲ってもらった際のタグが「Red Spine」なのでそのまま掲載。このトリコームに覆われた赤い鋸歯が次世代に遺伝してほしいのですが、葉の地色の緑が強いのが自分は苦手。 


D.T-Rex

‘T-Rex’はドイツの種子業者ケーレス(Koehres)からの種をタイのVitchit氏が実生選抜した個体と聞いています。「Super Wide Leaf」「Tsumani」と呼ばれる個体も同じグレックスシブリングだそうです。T-Rexはその名が表す通りデカイ鋸歯を持ち魅力的ですが、葉が暴れてなかなか綺麗にロゼットを形成してくれないので、そこがネック。。





これらのm-l交配はそろそろ期待の種が採れそうなのですが、播種する際に挿すタグの表記について疑問がでてきました。

自家受粉
marnier-lapostolei (self. / self seed)

兄弟 or 親子交配(文字にすると...なんかやばいな..
 marnier-lapostolei (×sib./sibling cross ) 

ここまでは良いのですが、血縁関係のない詳細の分からないm-l 同士は何て書いたら良いのか?これもシブリングクロスとする場合もあるようですが、なにかしっくりこない気分です。F1ではざっくりしすぎていますし。。。う〜む、とりあえずは 「Aさんx Bさん」と、戴いた方の名前を書いておくことにします(笑)